秋、髪を切る

秋、木々が色づき始めた。
よし、おれも。
おれも、色づきはじめるぞい！
そんな、いわゆる、「ぞい」という感じで、美容院へ行って来た。

津田沼STUDIO V。
ご指名は？と聞かれたので、特にないぞい、と言うと、
舘ひろしのような熟れに熟れたダンディなおじさまがやってきた。

これは、、、期待できるぞい！

おれさまこと、そぼく、その人は、実は美容院が苦手だ。
じーと座って、初めての人と、あれこれお話するのは、
なかなか冷や汗ものだ。
なんだか変な回路が働いて、ついつい、
笑いを取ろうといろいろ気を使ってしまう。
「へ〜、子供が野菜たべない〜うっそ〜ぉ」と
和田アキ子の煮込みラーメンのCMばりに、
大げさに反応してしまう自分に疲れてしまうのだ。
そんななかで、唯一の楽しみが、マッサージ。
マッサージがあるから、美容院に来てるとも言える。
で、そのダンディなおじさまは、
マッサージが上手そうに見えたのだ。

わくわくして、椅子にすわり、しばし髪を切る。
落ち葉が、さらさらと落ちるように、髪の毛が落ちる。
秋の時間が流れる。
鏡を見ると、、、、大分完成してきたようだ。
いよいよかな？

「はい、終了です！」

あ、あら？
マッサージは無かった。
これが秋というものだ。秋は、すぐに、僕らをうらぎってしまう。
ああ、一杯やらずには、いられない。
秋の空を見上げると、とても高い。
短くなった頭を、つめたい風がこれでもかと言わんばかりに、
吹き付けていた。